歩行時に片足がつまずく、かかとに鈍痛がある、足の指がしびれる、肩こり、ひざ痛などに悩まされていませんか?また睡眠時に足がつったり、ふくらはぎに疲れが溜まったなんて声も・・・。
このような方は足の検診をしてみるとその原因が分かります。
そのようなほとんどの方には、足のアーチが崩れています。足のアーチとは、土踏まずの大きな弧を描いた部分をいいます。
足のアーチとは?
足のアーチは3つあります。外側縦アーチと内側縦アーチ、そして横アーチの3つです。親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点を結ぶ靭帯と筋肉でできた足の組織です。
足は精密機械
足は人体の4分の1の骨が集まっている精密機器です。足のアーチはその骨と共に体を支える土台の役割をしています。人が二足歩行できるのも、この足のアーチのおかげともいえます。
人間だけが持つめずらしい機能なのです。
※一説によると象にも足にアーチがあると言われています。
他にも階段の上り下りや、物を持ち上げるなど、様々な日常の動作ができるのも、足のアーチがあるからできるのです。
足圧分布を見るとわかる!
*イラストは転載可ですが、必ず出展元である本URLを記載ください。無断転載は厳禁です。
足のアーチがきちんと機能しているかどうかは、その人の足の圧力分布をみると分かります。
この写真は正常に足にアーチが形成されている人の足圧分布です。アーチのある三点、親指の付け根、小指の付け根、かかとにしっかり体重が乗り、くびれもきれいになっています。
右足のかかとは若干体重が乗っていませんが、正常の範囲内ですので問題ありません。
異常者の足圧分布
一方、足のアーチに異常がある人の足圧分布がこちらです。かかとの分布が内側に向いていることが分かります。さらに正常の人と比べると、くびれが少なく、接地の面積が増えていてアーチが低下するのが分かります。
アーチが低下すると体重のかかり方がバラバラになります。現代人の多くの人は、このアーチが低下していると言われています。
アーチが崩れる原因
ほとんどの人が低下しているアーチ。ではその原因は何があるのでしょうか。それは以下のことが考えられます。
アーチが崩れる原因
- 運動不足
- 骨格構造
- 肥満
- 激しい運動
- 年齢
- 遺伝
この6つの要素がアーチの低下の原因になっていると言われています。
最初にも述べたとおり、アーチは靭帯と筋肉でできていますから、運動によって靭帯や筋肉が減少することが考えられます。
アーチの崩れの影響
アーチが崩れてくると様々な影響が出てきます。この写真は、アーチが崩れて外反母趾になった例です。親指が脱臼して内側に大きく曲がっているのが分かると思います。
正常な場合、関節の位置が向き合っていますが、外反母趾になると重なり合うはずの関節の位置がずれ、関節同士のつなぎ目がずれているのが分かります。これが脱臼です。
外反母趾の初期は関節が外れかけた状態になるため痛みが出ます。さらに外反母趾が進むと痛みが弱まり、外反母趾が治ったと勘違いして、放置するケースが多いのです。
外反母趾というとヒールが原因なので、女性の病気と思われがちです。もちろんヒールなどの靴が原因で外反母趾になることは多いです。
しかし、外反母趾はかかとが原因でなることが多いのです。
外反母趾というと、親指が脱臼する現象です。それなのに、かかとが原因!?一見すると言ってることが分からないかもしれません。
外反母趾の原因はかかとにある!
正常の人はかかとの真ん中に線を入れると地面から垂直になります。一方で外反母趾の人は、かかとの中心線が斜めに傾いているのが分かります。
このかかとの傾きを引き起こしている原因のひとつがアーチの崩れなのです。
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アーチが崩れると、かかとが傾き、その影響で骨がねじれてることで先端の骨が曲がり外反母趾となります。
アーチの崩れがひどくなればなるほど、外反母趾の症状も加速的に悪くなります。
アーチの崩れは病気を引き起こす!?
外反母趾だけではなく、アーチの崩れはこんな病気を引き起こす可能性があります。
歩いている時はなんともないのに、朝起きたときや帰宅後にくつろいだ後の数歩のみ、かかとに痛みを感じる症状がでることがあります。これは足底筋膜炎と言われる病気です。
足底筋膜炎とは、足裏の筋肉の表面にある厚い膜に細かい亀裂が入り炎症が起こる症状です。
アーチが崩れると足底筋膜も一緒に引っ張られてしまい、足底筋膜が付着しているかかとの骨が痛むようになります。中高年に多い足の症状で、日本人の5人に1人が足底筋膜炎を経験していると言われています。
アーチの崩れは足以外にも影響を及ぼす!?
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アーチの崩れは足以外にも体全体にも悪影響を及ぼします。片足チェックしてみると、その症状が良くわかります。
足のアーチが崩れると体のバランスを保つことが困難になり、片足で立つことも難しくなります。
足のアーチは3つあり、それぞれカメラの三脚のような機能を果たしています。このアーチが崩れれば、カメラの三脚だって立たせることはできないですよね?
人間も同じです。アーチが崩れると片足でうまく立つことができなくなるのです。
また、アーチはクッションのように伸び縮みすることで体重を分散させる働きがあります。このようなアーチの機能により、片足でも立つことができるはずですが、アーチが崩れると足本来の力が発揮できず、片足で立つとぐらついたり、倒れたりする原因になります。
さらにアーチは接地の衝撃を吸収する役割があります。
あなたは靴下を履くときに、ふらついたりしませんか?
アーチの崩れで自分の神経を踏む?
長時間歩いていると、足が痛くなったり、指が痛くなったりすることがあります。これは歩くときに自分の足で自分の神経を踏んでしまうことが原因です。
アーチが崩れると、足圧分布が均一になって、着地面積が広くなります。親指を通る神経を踏んでいる可能性があります。
アーチの崩れが全身をむしばむ
アーチの崩れはもっと深刻な状態を招く危険性があります。
この画像は外反母趾になった人が歩いている写真です。右足のひざが内側に向いているのが分かります。
これもアーチの崩れをひざがカバーしているのです。この動きがひざに余計な負担をかけて、ひざ痛になることがあります。
さらに姿勢は腰が反り、顔が肩よりも前に出てしまい、さらに右肩下がりになっています。
これもアーチの崩れを戻そうと上半身でバランスをとった結果です。これらは首こり、肩こり、腰痛の原因になると考えられます。
つまり、足元のちょっとした崩れが様々な関節へずれを生んでいき、体全身の崩れにつながっていくのです。
たかが足裏と侮ることはできません。あなたの健康の命運を握っているのは、足裏なのです。
すごい簡単!足裏チェック
まずかかとから、指を沿わせていくと、ぶつかるアーチの上にある骨に印をつけます。
座った時と立った時でどれくらい印の位置が変わるのかを測定します。印が一センチ以上変化すると、アーチが崩れている可能性があります。
崩れたアーチの矯正方法
残念ながら一度崩れたアーチを元に戻すことはできません。インソールなどでアーチを補正し、崩れを抑制させることが大切です。
しかしインソールといっても、いろんな種類のインソールが氾濫しており、市販のものが合うとは限りません。
自分の足に合ったインソール、オーダーメイドインソールをつくることが最適です。
オーダーメイドインソールは、フットケア外来・創傷ケアセンターなどの医療で作ることもできますし、手軽なものはスポーツ店で作ることも可能です。
是非オーダーメイドインソールを使ってアーチの崩れを防止してください。