防水靴の防水性を徹底比較!原理からメリットデメリットまで解説

雨の日に活躍してくれる防水や撥水機能。でもその違いを正しく理解していますか?防水と撥水の違いや撥水スプレーの原理を理解することで、防水靴の手入れをどのようにすればいいのかわかります。

またスノボやスキーなどのシーズンではブーツやスキーウェア、ボードウェアに防水スプレーを使う人は多いと思います。

そこで今回は防水と撥水スプレーの違いについてお伝えしていきます。

目次

防水機能とは


スニーカーやブーツ、また衣類の生地は見た目には分かりませんが、顕微鏡で観察すると隙間をたくさん持っています。所詮糸と糸を編み込んで作るのが生地ですから当然と言えば当然ですね。

水が浸入するのは、この生地の隙間から入ってくるのです。

それに対して長靴のような素材はゴムでできていて、生地にある隙間が全くない構造になっています。水を全く侵入させませんが、水蒸気が通る隙間もないため、通気性が悪いという欠点があります。

防水や撥水はこの生地の隙間から侵入する水をどうやって食い止めるのかという手法の一つです。

防水


防水には防水と撥水の二種類があります。

防水とは水が浸入する生地の縫い目や隙間を樹脂で埋めてしまう方法です。あらかじめメーカーによって行われる方法で、ユーザーが行う防水可能のほとんどは防水ではなく撥水です。

防水加工をすると長靴のように通気性が悪くなるデメリットがあります。また長靴のようにゴム素材で継ぎ目がないように一体成型しているので、どうしてもデザイン性が劣ります。

撥水


一方の撥水は文字通り水を弾く機能を生地表面につけてあげることです。フッ素の撥水スプレーは生地表面に細かい凹凸の分子構造をつけて水を弾きます。シリコンは生地表面に薄く染み込み水を弾いてくれます。

どちらも水を弾くという意味では同じで、表面張力が働いています。


表面張力は水滴と生地のなす角によって決まり、角度が大きいほど表面張力が大きく水を弾く力が大きくなります。

撥水スプレーを使うことでどんな靴にも水を弾いてくれますが、デメリットもあります。

効果が持続しない


撥水スプレーはフッ素系は靴やウェアに、シリコンスプレーは染み込みによるシミになる可能性があるため、車の窓ガラスなどに使われます。フッ素系のデメリットは時間が経過すると生地表面にできた突起が乱れることで水が浸入しやすくなることです。

靴に摩擦がかかったり、風や接触などによる圧力を受けると分子の並びが乱れてしまいます。

このために定期的に撥水スプレーをしなければなりません。

一般的に撥水スプレーの効果は1-2日で半減すると言われています。雨の日が多い季節は2-3日に一回、普段は1-2週間に一回は撥水スプレーをしてあげるとよいでしょう。

水圧を上げると水が浸入する

撥水スプレーはあくまでも生地表面に水を弾く機能を付けているだけであるため、水溜まりに入ると水圧が上がって水が浸入してしまいます。また豪雨のように雨が激しい状態では水圧が上がっているのと同じ状況になるので防水が機能しないことがあります。

水溜まりでも気にせず使いたい場合は、長靴のような生地の縫い目がない完全防水の靴でないと難しいのです。

ゴミや汚れに注意


撥水スプレーをするときには生地の表面が重要です。今まで履いていた靴に撥水をしようとすると、ゴミや汚れが生地表面についているため、その上に撥水スプレーをしても分子配列が整わず、撥水機能が半減していしまいます。

撥水スプレーをするときには事前に生地表面をきれいにするために洗濯や掃除することが重要です。

また油のような汚れが表面にあると、そもそも分子が配列してくれません。そのまま取れてしまうことがあります。

防水透湿性素材


出典:wikipedia
防水の生地というとゴアテックスが有名ですね。水は通さないが水蒸気は通すので、夏の雨の日でも快適に過ごせると話題の生地です。ゴアテックスの防水はフッ素樹脂に多数の穴が開いた生地を表面につけることで水は通さないけど、水蒸気のような分子の大きさが小さいものは通す構造になっています。

水蒸気の大きさ:0.00004μm
雨水の大きさ:100-3000μm
ゴアテックスの穴:0.1-5μm

この大きさからみてもわかる通り、水滴の大きさはゴアテックスの穴や水蒸気の大きさから考えてもかなり大きいことが分かりますね。ゴアテックスは登山用のウェアとしてヒットしましたが、最近は靴にもゴアテックスを使う靴が増えています。

防水用の生地としてメリットが大きいですが、デメリットはやはりその価格です。靴でも10000円以下で購入できるモデルはほとんどないので、それなりの出費が必要です。

またゴアテックスなどの素材を使った靴のモデル数は少ないので、ご自身の好きなデザインに出会う確率が少ないのがデメリットです。

アウトソールの高さで防水


少し番外編になりますが、靴の下についてあるゴムを高く作って、水たまりでも水の侵入を防ぐタイプの防水靴があります。イラストのように下から**cmまで防水というように記載されてます。

スニーカーに多く簡単に防水できるので安い靴に多い方法ですが、靴の下部が防水されているだけで、雨がかかれば簡単に水が浸入しますので注意しましょう。

まとめ

靴の防水の種類についてお伝えしました。表にしてまとめてみると以下のようになります。

メリットデメリット
防水(長靴)完全に水の侵入を止めてくれる通気性やデザイン性が悪い
撥水簡単にどんな靴でも可能持続時間が短い、水圧を上げると水が浸入する
防水透湿性素材水を進入させず通気性に優れる価格が高い。靴が限られる

防水として何もかも満たすものはなく、デザイン性を取るのか、快適性を取るのか、値段を取るのかによって選択肢が変わりますので、その中から何を優先するのか考えみてみるとよいでしょう。

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この記事を書いた人

Nakayamaのアバター Nakayama 代表取締役

2015年にインソールBiontechに出会い、インソールや足、靴の勉強を始めながら代理店としてスタートしました。当時は右も左もよく分からない状態でしたが、いろんな方の助言や指導を下にBiontechの拡販と行っております。
執筆については代表の私が直接執筆しております。
他にも写真撮影やレビューなどを行っております。
インソールを8年販売してきた経験からインソールや靴、足に関するコンテンツの作成と監修を行っております。

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